🔍 古事記の秘密を解き明かす、神名と伝説の由来


おや、子どもたちだけで、この土地ん言い伝え聞きぃ来たかいな。
えらい関心やわ。

子供のためのやさしい『古事記』 の続きを聞きたいって?

ほな、そこ座って、おばあちゃんの話聞きな〜。

今まで聞いた話は……


  【あらすじ】
・ 宇宙は混沌とした《渦》だった ・ 高天原に三柱の神(造化三神)が生まれた ・ 続いて、二柱の神(ここまでが別天津神ことあまつかみ)が生まれた ・ 次に、五組十柱の神々(神世七代かみのよななよ)が生まれた ・ イザナギ&イザナミの神様が伝説の島を作った ・ 黄泉の国のゾンビから逃げて、川で身体洗って ・ わめくスサノオが天界に来て姉弟バトル
天照大御神アマテラスオオミカミ 様と、素戔嗚尊スサノオ 様の対決の話までとな……。 でもなぁ、素戔嗚尊スサノオ 様んこと『悪ガキ』や言うて、バチ当たらんといいけどなぁ。あの方もなぁ。   ・    ・ 

📓 古事記上巻-7 素戔嗚尊の奇行

『古事記』上巻(素戔嗚尊の騒動) 「従正五位上」官位 太 安万侶おおの やすまろ (奈良時代)


じゃあ村の外れのばあちゃんが、この土地の古くからの話をしような。 子供達が聞いた、あの姉弟対決で交換した話の続きやな。 この国には昔な、天照大御神アマテラスオオミカミ いう、とっても立派な神様がおったんやで。 天照大神アマテラスオオミカミ 様はな、三人の女神様を生み出してん。 伊勢の地のでっかい神殿の…… ・ 奥津宮オクツミヤ の 多紀理毘賣命タキリヒメノミコト ・ 中津宮ナカツミヤ の 市寸嶋比賣命イチキシマヒメノミコト ・ 邊津宮ヘツミヤ の 田寸津比賣命タギツヒメノミコト 胸形君ムナカタノキミって人がおるやろ? あの方のご先祖様やねん。   ・    ・  反対に、素戔嗚尊様スサノオ が生み出した男神の子孫は、 天菩比命アメノホヒノミコト の子どもの、建比良鳥命タケヒラトリノミコト は、 その子たちが 出雲国造イズモノクニノミヤツコ や 武蔵国造ムサシシクニノミヤツコ などのご先祖様とされてるんや。 それと、天津日子根命アマツヒコネノミコトの子孫には、 川内国造カワウチノクニノミヤツコ や 額田部湯坐連ヌカタベノユイマノムラジ などもおるんやで。 素戔嗚尊スサノオ 様はな、自分の子どもたちのほうが、姉上の女神たちよりも優秀や言うてはりましたけど、実際のトコロ、子どもはともかく、彼自身の行動は乱暴で、天照大神アマテラスオオミカミ の畑を荒らしたり、大嘗祭だいじょうさい の殿で暴れたりしてたんやと。 天照大神アマテラスオオミカミ の織ってた布を破壊したときなんて、織女が驚いて死んでしまったほどやとか。 そないなことされたら、天照大神アマテラスオオミカミ 様もお怒りになるわな。結局、素戔嗚尊スサノオ 様は天界から追放されることになったんや。   ・    ・  この話はまだまだ続くけど、今日はここまでにしとこうか。 なんでも、いったんココで【解説】を入れたいそうなんですわ。 また次の機会にばあちゃんが続きを話すな。

  ・    ・ 

📓 素戔嗚尊スサノオの奇行の解説!

実はこの、〝スサノオ〟とされる人物の奇行は、完全な作り話ではなく、モデルとなった事件がある。 【大祓詞】

天の益人等が 過ち犯しけむあまのますひとらが あやまちおかしけむ 種種の 罪事はくさぐさの つみごとは 天津罪あまつつみ

本当にそのように暴れ回った王子が存在し、彼の奇行が、後に支配側に就く者達の戒めとなるよう、わざと不名誉な記録がこのような形で【大祓詞】に載せられた。 学校で言うなら、

王子君が、ここでバットを振り回して、壁に穴を空けちゃいました! この壁の穴は、王子君のせいです!

王子がバカみたいにバット振り回してな、壁に大穴空けてもーた! こんなんもう直らへん! もう芸術作品したるわ! デカデカと〝この穴の作者は王子君です〟って書いといたるわ!!

と、大穴の横に 『不名誉な看板』 を建てられてしまったようなモノ。 王子君卒業後も、その不名誉な記録だけは永遠に残り、後に入学してくる生徒達の戒めになる。  【初代天皇からの警告】

ほんま、アホなことしたら、お前もコイツみたいこの『看板の刑』なるで! 豪族も貴族も関係ないわ。羽目外さんと気いつけい!

ちなみに、大嘗祭だいじょうさいとは新天皇が即位して最初の新嘗祭にいなめさいのことなので、モデルとなった人物の一連の事件の裏には「地域住民の五穀豊穣の妨害」という意図が感じられる。
用語解説

新嘗祭にいなめさいって何ですか? 天皇が国民を代表して神々に感謝を捧げる儀式として、毎年11月に天皇がその年に収穫された新米を神々に捧げる儀式。五穀豊穣ごこくほうじょうと国家の繁栄を神に感謝し、祈る目的で行われる。

ちなみに、モデルとなった事件に関しては、『古語拾遺こごしゅうい』ではもっと詳しい。 このように『古事記』は、『神話』のような形を採用しながらも、実際の事件が混ざり込んでいる。 いや、実際の事件を、『神話風』に記録したと言うべきだろうか??(伏線) その答えは、読み進めていくウチにどんどん明らかになりますが、ところどころ、このような形で『謎解き』のヒントを出しながら、先に進みます。 『古語拾遺こごしゅうい』の話はまた後ほど。 NEXT初心者が楽しく読める古事記こじき入門8−天照大神の天岩戸隠れ






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